BLOG
ARTIST
水生生物フォトグラファー
森岡篤(もりおかあつし)
――うおづら。
このユニークな魚の証明写真は文字通り、魚(うお)面(つら)だ。
――魚の「正面」とは、どこか?
26年間にわたり水槽カメラマンとして、魚を撮り続けてきた森岡篤が抱いた疑問は、思わぬ世界を出現させた。
それは魚とのコミュニケーションだ。
魚を語る時、必要なのはその形状、模様、背びれ、尾びれである。
魚とは横から見るものと暗黙の了解がそこにある。
そして森岡もずっとそれを要求されてきた。
図鑑や広告のための写真。
必要なのは個体としての完璧なビジュアルである。
しかし、「魚の正面」という疑問を出発点に魚の顔を撮り始めたところ、魚は豊かすぎるほどの表情を見せてくれたのだ。
長い時間をかけ、ファインダーを通して魚が何かを語りかけてくるには、ほんの一瞬だ。
その一瞬を切り取るのはフォトグラファーの願望であり、欲望であり、思考そのものである。
人は人の顔を見たい生き物である。
我々人間が見たいものを魚に投影しているにかもしれない。
《おいどん》ライオンヘッドバルーンオランダ
《髭ダン》ショートテールダルマ琉金
《ロボコップ》ゴールデンパンチャックス。
《癒し》スイホウガン
《悪だくみ》8の字フグ
森岡篤―Atsushi Morioka
1967年9月4日、三重県に生まれる。
幼少期より魚が好きで、20歳の頃、東京タワー水族館(2018年閉館)に勤務。
写真に興味を持ち、コマーシャルフォトの世界へ。
1995年より水生生物の専門出版社でカメラマンとして魚の本作りをスタートし、著書多数。
熱帯魚、海水魚を中心に様々な魚を撮りため、日本の水生生物カメラマンの中でも群を抜く作品数を誇る。
2017年より魚の顔の写真を撮り始め、「うおづら」として発表。
SNSを中心に大きな反響を呼んでいる。
主な著書に『はじめての熱帯魚と水草 アクアリウムBOOK 』『新装版 金魚の飼い方・育て方 』(ともに主婦の友社)、『世界の海水魚450』(荒俣幸男、さとう俊 共著)など。
2020年5月、大和書房より写真集『うおづら』を出版予定。
◆works
「うおづら」カレンダー
『はじめての熱帯魚と水草 アクアリウムBOOK 』(主婦の友社)
『新装版 金魚の飼い方・育て方 』(主婦の友社)
『世界の海水魚450』(成美堂出版) ほか
◆SNS
Instagram:@at_pin_at_pin
◆
Next Artist ―――イラストレーター 金川カモメ